可変速モータを用いて、試験管路の下流に取り付けたバタフライバルブを回転させ、脈動流れを発生させた。この方式によって脈動周波数をおよそ20Hzまで高くでき、バースト周波数にかなり近づけることができる。また脈動振幅はバフタライ弁の直径を変えて変化させうる。 従来の実験における脈動周波数は2Hzまでであり、長さ5mの試験管路内の流れはほぼ非圧縮性流れとみなすことができたが、20Hzにもなると圧縮性の効果がでて管内には定在波が存在するようになる。このため、脈動周波数が低いときに比べて流れ場は非常に複雑になり、現在のところ乱流構造に関する実験結果を系統的に整理するまでにはいたっていない。そこで現時点で得られた成果をまとめると以下のようになる。 (1)脈動周波数の増加につれて乱れの存在する場所は時間的にも空間的にも局所化される傾向が強くなる。すなわち時間的加速度だけでなく、場所的加速度の効果も加わった流れの再層流化現象がみられた。 (2)上記再層流化過程における乱れの生成に関しては乱れの組織的構造が定常流の構造とどのように異なるのかを4象限分類に基づく条件付サンプリングにより調べた。流れが再層流化していく過程における乱れの生成に関してはSweepとOutward interactionが、一方乱れが発生する過程においてはEjectionとWallward interactionが重要な役割を演じていることがわかった。 (3)入口近傍における乱流スラグの発生に及ぼす圧縮性の影響を詳しく調べた。具体的には電磁弁を用いて空気の乱流過渡流れのスラグの初生と伝ぱの機構を探った。最初のスラグの前縁の伝ぱ速度は従来定常流や脈動流で報告されている値よりもはるかに大きい。これは圧力波の伝ぱ特性に関係していると思われる。
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