大気吸込み式超音速風洞を用い、湿り空気が超音速ノズルで膨張し凝縮に伴って生ずる凝縮衝撃波について、凝縮衝撃波を含む凝縮流れの全圧損失や凝縮衝撃波と境界層又は斜め衝撃波との干渉現象を調べ、凝縮衝撃波の特性を解明する研究を行った。主な結論は以下の通りである。 1.湿り空気が超音速ノズルで膨張する際に生ずる凝縮過程を数値解析し、その不可逆過程におけるエントロピーの増加から、全圧損失を求めた。湿り空気中の空気のエントロピーは増加し、水蒸気のそれは減少する。凝縮によって発生した液滴の表面エントロピーはわずかに増加する。これらの効果のため、湿り空気のエントロピーは増加し、全圧は減少する。 2.実験より求まる凝縮による流れの全圧損失は、貯気槽全圧の3〜8%程度である。上記の数値計算より得られる全圧損失の割合は、実験値のそれより少し小さく2〜5%程度となる。凝縮による全圧損失は初期過飽和度が大きいほど、初期温度が高いほど、またノズルの膨張割合が大きいほど大きくなる。 3.凝縮衝撃波を伴う凝縮流れが、測定部に設置されたくさび先端より生ずる斜め衝撃波に及ぼす影響について調べた。斜め衝撃波の上流で凝縮が起ると潜熱放出のため気流マッハ数は減少する。このため斜め衝撃波は上流へ動く。このような斜め衝撃波の動きと初期過飽和度との関係を明らかにした。 4.凝縮衝撃波と斜め衝撃波が干渉する場合、初期過飽和度が増加すると斜め衝撃波と強く干渉し、垂直状の凝縮衝撃波と干渉すると、斜め衝撃波が上流側に移動すると再び斜め衝撃波が発生する。 今後、凝縮衝撃波と斜め衝撃波との干渉パターンの一般化や、干渉流れ場の損失の計算など進めるつもりである。
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