研究概要 |
本研究は, レーザ2焦点流速計(L2FV)を用いて, 遷音速遠心羽根車インデューサ部の流れを詳細に計測して, 衝撃波を含む流動状態を把握するとともに, 超音速流入状態におけるインデューサ失速の原因を明らかにしようとするものである. 本年度はまず, 測定点の光軸方向トラバース装置の開発と翼間周方向16点が同時計測可能なマルチウィンドウ自動計測システムソフトの改良, さらにハードディスクを用いたシステムの開発などを行った. これによって計測ならびにデータ処理時間が大幅に短縮された. 実験はフロンR12を作動流体とする超音速遠心圧縮機試験装置を用い, インデューサ先端周速度が音速を超える回転数16500rpmにおける最高効率点およびインデューサ失速に近い運転状態で行った. なお, この回転数においてはインデューサの失速と同時に本圧縮機はサージに入った. L2FVによる計測は, インデューサ二乗平均半径上(深さ比0.4)においては翼前縁の7mm上流から7mm下流の翼間9×16=144点, 深さ比0.1においては7mm上流から翼前縁までの5×16=80点, さらに, 翼前縁から3mm下流の断面においては深さ比0.3から0.7まで5×16=80点について行った. 本レーザ計測システムがインデューサ部衝撃波を捉えるのに十分なシステムであることを確認した. 時間の関係で測定点がやや不足しているが, 衝撃波が深さ比0.5以上では発生していないこと, 翼負圧面あるいは翼前方に発生する衝撃波の強さや位置が流量の変化とともに変化しており, 特にインデューサ失速近い運転状態では二乗平均半径位置においても, のど部より上流の負圧面上にマッハ数が1.3の強い衝撃波が発生していることなどを確認した. なお深さ比0.1での翼間流れについては, 観測窓の状態が悪く測定できなかったが, これを改良しかつ本年度のデータを基に次年度はより詳細な計測を実施する.
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