本研究は、レーザ2焦点流速計(L2F)を用いて、超音速遠心羽根車インデューサ部の流れを計測して衝撃波を含む流動状態を把握するとともに、超音速流入状態におけるインデューサ失速の原因を明らかにしようとするものである。実験は回転数を一定にして、最高効率点、失速限界およびチョーク状態で行い、翼前縁近傍の流れを深さ比を変えて詳細に計測した。 本レーザシステムは、マルチウィンドゥ方式を用いたパソコン支援自動計測システムによる計測時間の短縮化、ハードディスクによる大容量データの高速処理化を図ることによって、衝撃波を含む翼間流れを据える実用的なシステムとなった。 本システムで得られる翼間の飛行時間と流れ角についての二次元確率分布は、運転状態毎に、また翼間位置毎にその分布形状が異なっており、流れの複雑さを示した。何れも明確な山形の分布をしていることから、L2FのSNRが十分高いことを確認するとともに、その分布から平均流および変動流についても有用な情報が得られることを示した。また、衝撃波があれば絶対流れ角および相対速度は翼間で急激に変化するが、相対流れ角は滑らかに変化しており、このことからレーザ計測の精度が高いことを示した。 翼間の等マッハ数分布を深さ比毎に示し、衝撃波の三次元構造を検討した。衝撃波の構造や強さが深さ比毎に変わるが、それらは相対流入マッハ数に加えて、入射角および翼の反り角によって影響されることを示した。 流量と衝撃波構造の関係を検討し、最高効率点では衝撃波がやや弱いこと、流量の減少と共に翼負圧面に強い衝撃波が発生しその上流マッハ数が1.3にも達することなどを明らかにした。 今後は、衝撃波の三次元構造をより詳細に調べ、失速限界に関する定量的な資料を構築する。
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