研究概要 |
燃焼系において生成されるすす微粒子の生成量は, 燃料の種類, 混合気の当量比, 温度, 圧力, 乱れなどの関数である. 従来, 燃料の種類, 当量比, 温度の影響について調べられて来たが, 実際の燃焼系が高圧下の燃焼であるにもかかわらず, 圧力の影響が不明確であった. 本研究はプロパンを燃料とする定容予混合気燃焼を対象とし, 従来にない高圧までの実験を行い, 上述の各変数の影響を各々分離して表現することを目的とした. 実験では直径100mm, 厚さ14mmのディスク型燃焼器に過濃予混合気を充てんし, これを周辺に設けた8本の点火栓で同時点火する. 8本の火炎により圧縮される燃焼室中心部の混合気は圧力が最大になった時に燃焼するが, この部分におけるすす生成を燃焼室の上, 下面に輝炎からの発光を分光し, 2色法により温度を測定する. すす生成時の圧力は予混合気の初期充てん圧力, 温度は不活性ガスの割合ならびに不活性ガスの組成(N_2がAr)の割合を変えて制御した. 実験において変化させた当量比の範囲は1.5〜2.7, 温度の範囲は1200〜2100, 圧力の範囲は0.1〜5.8MPaである. 実験の結果, すす生成量は当量比を増加させるほど, 温度を低下させるほど, また圧力を増加させるほど増加することが明らかとなった. 本結果は従来にない5.8MPaまでの高圧下の実験から得られたものであり, 圧縮点火機関やガスタービンなど実際の燃焼系におけるすす生成を考える上で貴重なデータである.
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