研究概要 |
衝突噴流伝達は局所熱伝達の促進法として用いられているが, 最近の電子機器の冷却, 高温鋼片の均一化等にみられる比較的狭い空間における衝突噴流熱伝達の基礎試料が少ないので, 数値計算による層流噴流熱伝達の予測, 実験による層流・乱流噴流熱伝達の検討を行っている. 昭和62年度においては, 衝突面に相当する加熱面寸法が局所熱伝達に及ぼす影響を数値的に評価した. その結果, 加熱片幅がノズル幅より小さい場合, ノズルから噴出した流体が一部, 直接流路下壁に到達することにより, 加熱片側面付近の循環流領域はノズル・衝突面間距離の増大とともに減少する. さらに流路下流域に小渦域が形成され, 局所熱伝達の減少がみられる. 逆に加熱片幅がノズル幅より大きい場合, ノズルから噴出した流体が, すべて 加熱片上面に衝突し, 流れ方向を変えるため, ノズル・衝突面間距離の増加と共に流路上壁および加熱片側面付近に形成される循環流域の増大がみられる. このようにノズル幅に対する加熱片幅の大小により衝突噴流の影響領域に著しい相違がみられた. さらに本年度は, 複数ノズルによる局所伝熱流動の検討を行うため層流噴流の数値解析を行っている. ノズルのピッチ, ノズル・衝突面間距離およびノズルレイノルズ数により, 特徴的な結果が得られており, 現在整理中である. さらに数値解析のみならず, 複数のスリットノズルを使用して層流噴流から乱流噴流まで一連の伝熱実験を行っている. 層流噴流ではほぼ数値解析と同様の結果が得られているが, 乱流噴流は, 局所熱伝達にピークがみられ様相がかなり異なる. この挙動を油膜法による可視化と対応させ現在検討中である. 二次元衝突噴流熱伝達の, 単一ノズル, 複数ノズルについて系統的整理が進みつつある.
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