電気機器の冷却促進、高温鋼片の温度均一化、フィルムの乾燥促進等の目的および装置の小型化のために比較的狭い空間における衝突噴流熱伝達の特性を数値的、実験的に検討している。 前年度に引き続き衝突噴流伝熱装置を利用し、円形ノズルによる伝熱特性を実験的に検討した。円形ノズルによる衝突噴流は、スリットノズルによる衝突噴流と異なり、衝突後の半径方向の流れは減速することになる。単一円形ノズルでは、ノズル径が50mmにおいて明確な特徴を表している。すなわち、局所ヌセルト数は岐点で極小、1/2D(Dはノズル径)の位置で極大値をとり、半径方向に漸減する。ノズルと同レベルに有する断熱壁のため生ずる循環流の影響で、第2の極大値をとる。第1の極大値の位置はレイノルズ数の増減にも変化せず、第2の極大値の位置はレイノルズ数の増大と共にわずかな下流側に移動する。一方、ノズルピッチ8Dの四角配列による4本ノズルの場合には、ノズル-衝実面間無次元距離H(〓h/0)を0.5から8まで変化させ、伝熱特性を得た。Hが0.5のように小さい場合、衝突面への影響領域は狭いものの岐点付近の局所ヌセルト数は高い。Hが1から2へ及ぶにいたり、影響領域の増大する。Hが5〜8にいたっては噴流が衝突面に及ぶ際には岐点が明確にならず、局所熱伝達の増大程度は低くなる。4ノルズにより囲まれた領域の平均ヌセルト数の最高値を表す最適ノズル-衝突面間距離が得られた。局所熱伝達の傾向を、衝突面上に塗布された油膜状態と対応させた。 局所熱伝達の増大に対応した局所流動特性を熱線風速計で求める必要がある。特に、速度変動、乱れ強さを測定し、衝突面付近の変動周波数の影響を検討する必要がある。
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