1.前年度に引続き、静電容量センサーと熱流束センサーを使用して屈折熱伝達率および伝熱管近傍の粒子密度を種々の粒子および流速に対して測定した。 2.伝熱管に接触する粗密のエマルジョンの頻度を高速ビデオカメラによる可視化実験によって測定し、その周期が6Hzであることを確認した。以上の実験結果より、浮遊粒子中に置かれた一列水平管群からの熱輸送モデルを検討し、以下の結果を得た。 (1) 熱伝達に寄与する粒子群の挙動としては、密なエマルジョンほど大きく、粗なエマルジョン、わずかに粒子を含んだガス体の順で小さくなる。 (2) 伝熱機構として、粗密なエマルジョンによる周期な境界層更新モデルが実験値とよく一致することを確認した。特に粒子群接触による非定常熱伝導効果は小さく、粒子まわりの対流伝熱の効果が支配的である。 (3) 本研究で提唱したモデルと従来提案されているモデル(粒子更新モデル、粒子群更新モデルおよび伝熱面の境膜抵抗を考慮した改良粒子群更新モデル)による計算値と実験値を比較した結果、本モデルの一致性極めてよく、流動層の伝熱モデルとしての妥当性が実証できとた言える。ただ粒子群密度が極めて希薄になる領域では、静電容量センサーの精度が若干低下し、実験値との差が大きくなる。 最後に、今回の結果は、5月末の第26回日本伝熱シンポジウムで発表し、機械学会論文集に投稿予定である。
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