前年度に引き続き、幅40mm、長さ120〜309mmの銅製平滑面とフィンピッチが0.61mmと1.36mmのフィン付面を用いて、下向き面上の凝縮伝熱におよぼす多孔質排液板(平均有効孔径0.61mm、厚さ2mm)の効果を実験的に調べた。供試流体としてはR113を使用し、伝熱面が蒸気空間に設置された場合と、液中に浸漬されている場合について実験を行い、両者の伝熱特性を比較した。平滑面と比較した伝熱促進率はフィンピッチの小さいフィン付面のほうが大きく、その値は多孔質排液板の高さとともに増大した。しかし、排液板の有効高さには上限があり、フィンピッチ1.36mmの面では1.4mm、フィピッチ0.61mmの面では6.7mm以上では伝熱特性に差が見られなかった。蒸気空間形と浸漬形を比較すると、平滑面では両者の差は認められなかった。フィンピッチ1.36mmの面では、凝縮温度差△T<10Kで浸漬形のほうがいく分伝熱促進率が小さかった。フィンピッチ0.61mmの面では。△T<4Kでは両者の伝熱特性の差は小さく、最高7.2程度の伝熱促進率が得られた。△T=4〜10Kでは、排液板付きの面の浸漬形の熱伝導係数が相対的に減少した。一方、排液板なしの面の浸漬形の熱伝達係数は相対的に増大した。△T>10Kでは、浸漬形の熱伝導係数は排液板の有無にかかわらずほぼ一定であった。この浸漬形の伝導特性は、伝熱面の下部に形成される蒸気空間高さと密接な関係があり、△T<10Kでは△Tの減少につれて蒸気空間高さが増大し、△T>10ではほぼ0となった。蒸気空間が形成される領域については、本研究者らが以前に報告した理論解析によってフィン付面の凝縮熱伝達を予測できることが確認された。
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