研究概要 |
(1)垂直管内の強制対流沸騰熱伝達の実験ループを製作し, 実験装置及び実験方法の妥当性を検討するため, 非沸騰の液体単相流体の強制対流熱伝達の実験を行い, Dittus-Boelterの整理式による予測値と比較することにより精度を確認した. (2)フロン系冷媒R11とR113の純液及びR11のモル分率が25, 50, 75%の混合媒体を試験流体として, 0.2MPaの系圧力について, 質量速度と熱流束を変えてサブクール沸騰から飽和核沸騰域の範囲で管軸に沿う局所の熱伝達係数の測定を行った. その結果, 沸騰を開始すると熱伝達係数の上昇がみられた. また管軸方向のバルク温度の上昇は圧力損失に伴う沸点の低下に相殺されて殆んどみられなかった. (3)沸騰曲線上で流速の影響が現われなくなる十分発達した核沸騰域について熱伝達係数の濃度依存性を検討した. その結果, 純液の熱伝達係数あるいは伝熱面過熱度と混合媒体の濃度から合成した熱伝達係数は, いずれの濃度の場合も測定値より低い4をとることが明らかになった. (4)局所の熱伝達係数の測定には混合媒体のバルク温度の管軸方向変化の情報が必要であるが, 修正BWR状態方程式に基づく混合媒体のエンタルピの計算プログラムを作成し, 十分な精度で収束することを確認した. (5)水-エチレングリコール混合媒体を用いて強制対流沸騰系の十分発達した核沸騰域に対応する状態での実験をプール沸騰の条件下で行った. 熱伝達係数の測定値を4種類の異なる方法による予測値と比較したところ, いずれの方法も熱伝達係数の濃度依存性に関し満足な結果を与えないことがわかった.
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