昭和62年度の研究に引続き、試作した透湿度測定装置に更に検討を加え、以下の項目についての研究を行った。 1.一方向拡散型透湿度測定装置の改良 前年度の装置では特に立ち上がり特性の遅れを装置常数として扱い、ガラス繊維布(GF/D)、高分子繊維紙(15THー145)および市販の不織布(FELT)について測定位置や試料の厚さを変えた測定を試み、見かけの拡散係数の値として確定した。この立ち上がりの特性をなるべくステップ状に近づけるために、バイパス回路で予め湿り空気を循環させた。このようにして立ち上がり特性を改良したが見かけの拡散係数の値として、ほぼ前者の場合と同程度値が推定された。 2.一方向向流拡散型透湿度測定装置の試作 ガスーガスの拡散係数を測定するのによく用いられる非定常向流拡散を利用した透湿度測定装置を新たに試作し、この方法による測定の検討も試みられた。この方法では前者の問題点はないが、水蒸気濃度の変化は前者の場合の1/2となる。高分子繊維紙(15THー145)について測定位置や試料の厚さを変えた測定を試み、見かけり拡散係数の値として、ほぼ前者の場合と同程度値が推定された。 以上の結果はこれらの測定法により、見かけの拡散係数の値として透湿度の測定が可能であることが実証された。安定で精度の高い測定法の確立のためには、透湿度測定装置の改良と測定法の規格化が不可欠である。また、この測定法は基本的には光ファイバ局所湿度計の測定精度に依存するので光ファイバ局所湿度計の測定精度の向上も不可欠である。 以上の成果は第26回日本伝熱シンポジウムで発表予定である。
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