本年殿研究実施計画に基づき、以下の手順にしたがって数値解析を行った。 1.管群における乱流熱伝達を理論的に解明するために、乱流モデルとしてK-ε二方程式モデルを採用した解析プログラムを作成した。この手法は種々の流体、管配列ピッチ及び異なる管壁加熱条件に対し、層流から乱流にわたるレイノルズ数範囲の解析が可能なものである。 2.この手法により、流体としては空気を想定してプラントル数0.7、レイノルズ数100-10^6の範囲で数種類の管配列ピッチに対しての数値解析を試みた。 3.層流状態から乱流状態への遷移によってはく離点の位置が下流側へ移行すること、また乱流運動エネルギkは管列が進むにつれて増加することなど、いくつかの特徴的なことが明らかになった。 4.しかし、これらの計算条件の全てに対して安定で正確な解が得られたわけではない。すなわち、乱流の数値解析の安定性と精度はレイノルズ数のみでなく、管配列ピッチにも依存することが判明した。 5.このような計算上の不安定性および誤差(伝熱計算における熱収支で評価)は、差分格子が円柱と直角座標からなるハイブリッド格子であり各々の領域の大きさが影響すること。また、再循環流をともなう流れのため壁法則を適用し難いことによると考えられる。 6.上記問題点の解決のために多くの試行錯誤を要し、管群の流動抵抗および伝熱に関して実用上要求される精度で予測可能な無次元整理式の提案をするに至らなかった。
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