研究概要 |
1.冷媒/冷凍機油系混合物の蒸気圧を測定する現有の実験装置を改善した. 主要な改良点は恒温槽の温度制御を容易にするためにフラットベッド型レコーダを組み入れたことである. 2.冷媒/冷凍機油系混合物試料の調整はつぎのように行うことにした. まず不揮発性の冷凍機油を規定量だけ試料容器に採取し, 真空排気装置により冷凍機油中に溶け込んでいる空気を十分脱気して秤量する. ついで, 揮発性の冷媒を目標量だけ同様の試料容器に採取し秤量する. あらかじめ試料容器の空体質量を秤量しておくことにより, 試料容器内に採取した冷凍機油および冷媒の質量が求められ, 実験に供する混合物試料の組成, すなわち質量分率を決定した. 3.本年度は当初の研究計画に従い, フロン系冷媒R22と合成冷凍機油からなる混合系を対象として蒸気圧の測定を実施した. 実験組成は純粋なR22, および5, 12, 20, 32, 42, 54, 60, 74wt%冷凍機油の9種類である. 温度283.15K〜333.15K, 圧力2.4MPaまでの範囲で, 計54点の蒸気圧の実測値を得た. この混合系における油の混入による蒸気圧低下の傾向は, 50wt%冷凍機油の組成で10%程度, 70wt%冷凍機油の組成で20〜30%までに達することなどの知見が得られ, R22/冷凍機油系混合物の蒸気圧の組成依存性を実験的に明らかにすることができた. 4.上述の実験研究と並行して, 冷媒/冷凍機油系混合物の熱力学性質に関する従来の研究について文献調査・収集を行い, 1960年代において西独を中心にしていくつかの関連報告が行われていることが判明している.
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