伝熱板の裏面の状態に主として着目して研究を行った。まず、噴流出口と衝突面(伝熱板裏面)間距離(H)と噴流出口直径(D)の比(H/D)を種々に変化させて実験を行った。しかし、熱伝導率のよいアルミ板においては、その影響は僅かで、H/D=4程度で多少冷却効率が向上する程度であった。しかし、熱伝導率の悪いアクリル樹脂板においては、H/D=4〜6で冷却効率の向上が観測された。また、伝熱板裏面に突起をつけて熱伝達率の向上を試みたところ、かなり有効であることが確かめられたが、まだデ-タが少なく、より正確な結果は来年度以降の研究にまたなければならない。矩形吹出し孔は理論計算結果との比較においては便利であるが、工業的観点からは円形吹出し孔が望ましい。この観点から円形吹出し孔について解析を試みたが、本年度内には収束解を得ることができなかった。 全面膜冷却は有限個の吹出し孔から冷却剤を吹き出す冷却方法であり、その吹出し孔の間隔の減少とともに冷却効果は向上する。こ観点から、吹出し孔の数を無限大にしたと考えられる"しみ出し冷却"は当然よりよい冷却効果が期待され、さらに、噴流を衝突こせることによって、非常に高い冷却効果を得ることができよう。この場合はこれまでの経験が役立つし、解析もむしろ有限個の吹出し孔よりも簡単ではないかと思われる。また、冷却剤として液体を霧化して使用すれば、著しい冷却効果が得られるものと期待される。来年度以降、この分野について研究を発展させたい。
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