研究概要 |
本年度は研究の初年度として, 実験装置の製作を行い, 装置が計画通りの性能を発揮できるか否か, 次年度以降の本格的なデータ採取のための予備的な検討を行った. すなわち, 1.CWM懸垂滴の燃焼実験については, 落下式電気炉を製作し, 液滴の炉内への急速加熱を可能とした. これを用いて, CWMに廃油を混ぜた燃料の燃焼実験を行うと, 液滴の炉内挿入直後に激しいミクロ爆発を生じ, アグロメ(凝集)を避けうる一方法となることがわかった. しかし, 粘性の増大等問題もあり, これに関しての系統的な実験が今後必要である. 2.上記の実験と実際の小型燃焼炉に於ける着火, 燃焼挙動を関連ずけるための液滴及び液滴列燃焼実験装置の高加熱電気炉(設計温度1200°C)は62年末に完成することができた. 幅20mmで長さ1mにわたって観測可能な窓を持つ縦長燃焼炉は長手方向に±0.5%以内に温度制御が可能で, 計画性能を十分発揮できる. CWM液滴の落下装置を今後工夫することにより, 当初計画した実験を行う予定でいる. 以上の実験装置の製作とは別個に, すでに行われているCWM液滴の水分蒸発及び着火遅れに関する神戸大学, 東北大学, 清華大学(中国)の実験結果に対し, 半理論的な考察を試みた. その結果, 得られた着火遅れの式は上記実験結果のいずれをもよく説明することができ, 電気炉中での懸垂CWM液滴の着火遅れ予測は可能となった. この結果は63年8月8日〜8月12日に清華大学(中国)で行われる第2回伝熱に関する国際会議(2nd International Symposium on Heat Tsansfer,Beijing,VHINA)にて発表予定である.
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