研究概要 |
62年度においては, 慣性センサを用いる2次元運動の自立位置センシングシステムの開発と, 柔制御された柔構造(弾性)ロボットアームの操作性の把握を目指して研究実施計画(1)〜(5)にそう検討を行い, 次の成果を得た. (1)慣性センサのハードウェア:高剛性・高精度直交座標型ロボットおよび2リンク弾性ロボットについての予備実験を通して, X,Y-2チャンネルの加速度と角速度を検出する超小型複合センサの詳細仕様を定め試作発注した. この際, 最大のS/N比, 零点安定度が得られるよう特に留意した. (2)ソフトウェアの構築:加速度・角速度信号のノイズ分離法, 最適フィルタリング, 積分方式, 初期条件の設定, リセット点の選定, 座標変換等について検討し, 実験用ソフトウェアシステムを構築した. (3)性能試験システム:既設の直交座標型ロボットおよび新たに試作した回転テーブル装置を用いて上記センサシステムの基本特性, 実用作動範囲, 性能限界等を実験的に確認した. この際, ある動作条件下で角速度と加速度間に大きなクロスカップリングが生ずることが明らかとなり, 可能な限りの調整と補償対策を鋭意検討実施中である. (4)柔構造ロボットアームの操作性:よく制振された柔構造ロボットアームの作業操作性についての基本的考察を行い, とくに同アームが緩やかな作業をしている場合の弾性変形誤差の可補償性とその条件を示し, 補償アルゴリズムを提案し, 重力平面内で作業を行う2リンク柔構造ロボットについて実験的にも検証した. 目下さらに動的補償, 制振制御と補償制御を統合する階層制御システムの構築等について研究中である. 成果の一部を公表した. (5)慣性センサを柔構造ロボットのハンド部に装着する際新たに生ずる問題点につき考察を加えた. 大学院学生姜兆慧, 清水博文, 学部学生福田望, 近野敦の研究参加を得たことを付記する.
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