本研究では、器用に物を操るためのロボット・ハンドの制御においては、触覚・力覚・視覚の各感覚を複合利用する必要があると考え、ロボット・ハンドの試作、制御システムの構築・物体の操作実験を行った。 この研究の成果は以下のようにまとめることができる。 1.多自由度多指ハンド・システムの構築 小型の力覚センサを組込んだ指を3本組み合わせた多指ハンドを作った。3本の指の総自由度は13であり、それらを制御する制御システムをリアルタイムOSを用いて実現した。これにより、力覚センサからの情報を高速にフィードバックできる制御システムが構築できた。 2.感覚情報の処理用プログラムの開発 力信号の処理にはディジタル・フィルタ処理を行い、物に触ったかどうかを検知することができるようにした。視覚情報の処理は、物体発見と物体追跡の2つの処理に分けて考え、それぞれのプログラムを物体操作に適用でのる形で開発した。 3.積木の操作実験 多自由度多指ハンドにより直方体のつみき立てたり、まわしたりする操作を実験した。操作対象がどこにあるかを視覚で認識し、力覚センサで対象物の存在を検知する。指の動作制御中には、力覚センサで力のかかりぐあいを監視し、操作対象を視覚で追跡する。操作が成功したかどうかは、力覚と視覚の両方で感知することができる。
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