動力軸上の2ケ所に磁気テープを貼り付け、その上に周期信号を着磁し、これに対応する磁気ヘッドから生じる出力信号の位相差から軸に加わるトルク値をオンラインで検出する研究を行い、次のような結果がえられた。 1。卓上旋盤を用いてトルク値検出機構を試作し、回転軸にトルクが作用した場合の位相差信号に関するデータ処理法を確立し、実験を行なってその有効性を確かめた。 2。位相差信号には必然的にシステム雑音、観測雑音が混入するので、トルクの真値を求めるためのデータ処理に関する基礎的研究を行なった。このため、検出信号および測定回路中の不規則信号の同定に基づく数学モデルを確立し、これにより実データの模擬データが発生可能となった。 3。データ処理として、カルマンフィルタによるトルク値推定理論を確立し、計算機プログラミングの作成により、一定トルクが作用した場合と負荷変動によりトルクが変化した場合について、シミュレーション実験を行ない、良好なトルク値推定が可能であることを確認した。 4。オンラインデータ処理という観点から、トルク値推定プログラミングをC言語により行ない、データの実時間処理を可能にした。さらにデータ処理に関し付加的機能をもたせるため、DSPプロセッサを用いたデータ処理システムを開発中である。 5。カルマンフィルタの計算機上でのオンラインデータ処理はかなり複雑となるため、オブザーバ理論の適用により簡便なデータ処理法も開発し、その有効性をシミュレーション実験で確認した。 以上のような成果に基づき、実システムへの適用を目ざし更に研究中で、これにより変動する動的トルクの監視と異常検出を行なうコンピュータ計測ネットワークを完成する予定である。
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