研究課題/領域番号 |
62550191
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西谷 健一 北海道大学, 工学部, 助教授 (30002033)
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研究分担者 |
長谷川 淳 北海道大学, 工学部, 教授 (40001797)
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キーワード | 電力系統 / 状態推定 / 観測器配置 / カルマンフィルタ / 階層構造 / 分割協調理論 / 制約付最適化 / 異常検出・同定 |
研究概要 |
本研究では、電力系統の状態推定問題に対して、各種問題解決アルゴリズムの開発と実規模系統への適用、階層構造を持つ推定器の構成と実現、動的推定の実規模系統シミュレ-ションに基づく性能評価、更に各機能の総合的な性能把握が中心的課題であるが、本年度の研究成果は次の通りである。 1.階層構造を有する推定法に関しては、前年度基本的な検討を終えていた動的階層推定アルゴリズムを完成し、実規模系統を含む様々なシミュレ-ションによりその有効性を確認した。評価関数の分割に際し、近似的な方法を採用しなければならなかったが、幾つかの仮定が妥当であることが確認された。特に計算時間に関しては、一括型動的推定の数分の一にまで削減され実用化に対し有用なものとなった。 2.状態推定機能におけるいわゆる中間母線の取扱いについても、前年度一括型静的推定器に対し理論的に完成していた方法に基づき、階層型推定器、動的推定器におけるアルゴリズムを確立した。階層推定の場合には、再び近似的な手法が不可欠となったが、実規模系統を含む幾つかのモデル系統での試算の結果、推定精度向上の観点から有効であるとの結論が得られた。 3.最後に電力系統状態推定実用化のための、最終的な検討を行った。前年度まで更に本年度の検討により、階層型動的推定器が総合的に優れた性能を有していることが明白となった。特に、必ずしも計算機システムの並列化が必須のものではないとの知見が得られ、その有用性が一層明確になったものと考える。更に、各部分系統では小規模の推定計算で済むこととなり、観測器最適配置、推定器最適化機能に加え、異常検出・同定アルゴリズムの適用等についても、その実現が容易なものとなる。
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