本年度の最終目的であるバイポーラ雷の三次元空間解析までは至らなかった。その主な理由はスローアンテナによる電界変化データが得られなかった為である。以下では本年度の研究成果について報告する。 測定データの収集記録用として、新たに16ビットパーソナルコンピュータを導入し、本補助金で購入した40MBハードディスクを使用した。データ記録をフロッピーディスクからハードディスクに転換し、記録容量を増加させた。これにより5回から一挙に110回程度の記録が可能となった。昭和62年度に設置したスローアンテナ測定系は感度の設定を過大に見積もり、大半のデータが飽和して解析不能であった。そのため、昭和63年度はその感度を1/10に下げた。昭和63年度冬季の観測では、11月と12月に合計して5日間に鉄塔落雷を観測したが、雷電流波形センサの電源回路に不良が発生し、記録は全く得られなかった。それ以降現時点3月中旬までには、鉄塔落雷を観測していない。 本補助金で完全した観測システムにより、今後着実にデータを収集することができる。これまでの観測データの結果は、1988年の4月に米国オクラホマの国際会議および6月開催のスウェーデン・ウプサラでの国際会議で発表した。現在JGRの雑誌に投稿中である。
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