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1987 年度 実績報告書

真空絶縁破壊前駆状態における生成イオンの同定

研究課題

研究課題/領域番号 62550194
研究機関埼玉大学

研究代表者

鈴木 憲司  埼玉大学, 工学部, 教授 (70008796)

研究分担者 小林 信一  埼玉大学, 工学部, 助手 (40008876)
キーワード真空絶縁破壊 / 質量分析 / 電子衝撃脱離
研究概要

真空ギャップの絶縁破壊原因となる前駆状態時に電極から発生するキャリアについて, その成分の同定を行った. はじめに, 交付申請書に述べてある通り, 実験能率の向上のために実験装置の改造を行った. 即ち, 粗引き系にターボ分子ポンプを導入し, 排気能力を強化した. その結果, 供試電極交換後測定可能圧力に到達するまでの時間が, それまでの二日から一日に短縮され, 所期の目的を果たすことができた. 更に, 到達圧力も従来の2×10^<-8>TORRから5×10^<-9>Torrに改善され, 予想以上の好結果が得られた. ついで, 測定系で必要とされる各種電子回路装置の製作を行った. 必要な部品にかなりの部分従来から準備していたものを使用することで所要の機能, 性能の装置を用意することができた.
以上の準備の後, 実験を開始した. 電極材料にはアルミニウム, 銅, 鉄を用い, 直流電源により定常的な破壊前駆状態として, 発生イオンの質量分析を行った. その結果, 発生イオンは, 電極材料に関係なく, 真空容器内の残留ガス成分と一致することが判明した. 即ち, H, H_2, CH_4, H_2O, CO, CO_2等である. 当初予想されていた電極材料イオンが検出されていないことが特徴的である. これらのイオンは, 電極表面に吸着していた残留ガスが, 電子照射による電子衝撃脱離現象にもとづいて発生したものと結論づけられた. この結果から, 前駆状態において発生するイオンが, 真空の質に依存することを明確にした. 電極間のイオンは, その運動速度が低いために空間電荷効果により極間の電位分布を変化させる. 従って, 真空の質が電位分布の変化を支配することになる. これらのことから, 破壊現象の解明には, 従来等閑視されてきた電極表面吸着ガスと電子線との相互作用が, 重要な素過程の一つとして考慮されなければならないことが明かとなった.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 小林信一,鈴木憲司: 昭和63年電気学会全国大会.

  • [文献書誌] S.Kobayashi, K.Suzuki: J. Phys. D.

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公開日: 1989-03-20   更新日: 2016-04-21  

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