1960年代末以降民鉄各社は相次いで電力回生ブレーキを用いた車両を導入し、現在ではJRを含めて新造車のほとんどが回生車となっている。この変化に合わせて、饋電システムの設計・回生車の制御を見直したのが本研究で内容的に直流饋電システムと交流饋電システムとに分けて記述する。 1.直流饋電システムの回生車運転線区向け設計・制御 回生失効確率を減らすための有効な方策として、変電所無負荷送出電圧の低減または電車線許容最高電圧の増加、変電所の電圧変動率の低減または定電圧制御、饋電線抵抗の低減を明らかにした。回生余剰エネルギーの吸収設備として変電所等へのインバータ・抵抗・蓄積装置等の導入は、これらの設備が有効に活用できる条件が複雑で、必ずしも一般性がないことも明らかにした。 2.回生車を導入する線区向けの交流饋電システムのあり方 直流饋電システムは原則として全部並列饋電されるので停電はないが、交流では横流防止、保護上の観点から単独饋電となり、異電源セクションで停電することが多い。この場合回生車のセクション通過を可能とするために、多くの可能性の中から、以下の方式有望なものとして選定し、開発を進めた。セクション制御方式としては(1)微小並列切替え方式、(2)瞬時切替方式、(3)微小時間切替方式、(4)抵抗セクション方式、これらに対応する車両の制御としては、(5)、(1)〜(3)に対応する架線側PWM制御変換回路の主変圧器偏磁防止機能付制御、(6)(4)に対応する自励回生電圧位相制御 3.PWM制御交流回生車のビート・トルクリプル抑制制御将来の交流回生車の主流となる標記の方式の実用上の最大の妨げである、複変換器間干渉を除去し、トルクリプルを低減する制御方式を開発した。
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