研究概要 |
この研究は大きく二つの内容からなり, 一つは多地点における地上電界ならびに針端コロナ電流の長期連続測定および他の一つは雷雲下における空間電荷発生の時間的推移の検出である. これにより雷雲の規模とその下における電力施設周辺の電界の実態を明らかにしようとしている. 本年度の研究の実績と成果の概要は次のとおりである. 1.夏季雷観測は昭和62年7月10日〜8月7日, 名古屋市南部の4地点で実施, 梅雨明けの雷に対する連続観測を実施した. また, 冬季雷観測は昭和62年11月28日〜12月27日, 金沢市郊外河北潟の6地点で実施, 冬季初期の雷に対して連続観測を実施した. 初年度のデータと過去の予備観測データとを総合して, 冬季には電界は全体平均してみると24時間に均等に発生しており, そのうち約2/5の時間帯に放電を伴うこと, 夏季雷のうち約半数は正極性の電界で, しかも活溌な雷放電を伴っていることを明らかにした. 購入のペンレコーダにより本観測が実施できた. 2.光/電気変換方式による省エネルギー型空間電界計を試作し, 地上5m, 10mの高さにおける電界の同時観測に成功した. この結果から冬季雷の強い電界下では空間電荷の形成が著しく, 電界の変動に応じてわずかな時間的遅れを伴いながら変動している様子を検出し, 今後電力施設周辺での電界緩和を考察する手がかりを得た. 3.冬季雷観測においては, 1項で述べた電界の多地点観測地域, 東西約4km, 南北約5kmを, 研究分担者桜野が所属する石川高専からビデオカメラにより撮影し, 当該地区周辺に29例の自然落雷を記録することができた. いずれも針端コロナ電流にパルス状波形を伴っている. 今後1項のデータ解析によって求められる地上電界分布と落雷地点との対応をみるための作業を進めていくこととしている.
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