研究概要 |
広帯域アンテナ, スペクトラムアナライザー, パーソナルコンピュータなどを含む電磁波のディジタル計測・処理システムを構成し, SF_6ガス中および空気中の短ギャップ部分放電電流波形および, その放電に伴う放射電磁波の周波数スペクトル分布を測定した. その結果, 次の事項が明らかとなった. 1.1.6mm直径の棒対平板電極系で棒先端半球の場合2mm以下, 先端円錐形では0.5mm以下の短ギャップでは, 放電はSF_6ガス, 空気いずれも火花型となり波頭長2ns以下, 波尾長3〜5nsの電流波形が生じる. 2.ギャップがより広くなると放電はコロナ型へ移行し, 電流波高値は火花型の場合の1%以下に低下する. 一方・その波尾長は, 空気では15〜20nsにまで長くなる. しかしSF6ガス中では波尾長は2〜3nsで短い. 3.単一電子なだれモデルによる試算では, SF6ガス中では, 空気の場合よりも多量の負イオン群が棒先端近傍に集中して短時間で生じる. これは, SF6ガスが大きな電子付着係数を持つことによる現象であり, これが短いコロナ放電パルスを生じる原因になるといえる. 4.火花型放電に伴って生じる放射電磁波を測定すると, 1GHz以上の広い周波数範囲にわたるスペクトル分布を示す. SF6ガス中コロナ放電波形をフーリエ級数展開すると, 火花型に似たスペクトル分布となるが, そのレベルが低いため測定では背後雑音レベルと大差なく, その判別は容易ではない. しかし, ディジタル処理によりコロナ放電による成分の検出も可能となる. 5.今後は, さらに種々の放電条件についての放電波形や電磁波のスペクトル分布の測定を続け, また, 絶縁物沿面の放電への影響なども調べ, GIS内部放電有無についての外部診断を的確に行うためのデーターベースを充実させて行きたい.
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