研究概要 |
本年度は, 石油又はガス燃焼MHD発電を想定した電極境界層アークの発生・維持機構解明の為の研究を行い, 次の様な新しい知見及び成果を得た. 1.冷却電極表面上に成長した境界層におけるアーク発生前のカリウムシード原子密度は, 従来予想されていたようなガス温度で与えられる熱平衡値よりもかなり大きな値を示し, しかも主流から電極に近づくにつれて一旦増加する. これはKOHの反応・輸送と冷却電極上での密度値が熱平衡値より大きくなり得ることに起因している. 2(1).作製したフラッシュランプ励起色素レーザを光源とし, CCDカメラを干渉縞検出器とするマッハツェンダ干渉計は, MHD発電電極で予想されるmmオーダの寸法のアークに起因して発生した中性ガス密度変化に基づく干渉縞移動数の測定に適用できる. (2).電極境界層付近では, ガス温度が低下することによる中性ガス密度の増加のため, アーク発生による干渉縞移動数が多くなり測定精度が向上する. 但し, この際境界層内のアーク発生前のガス温度分布の正確な測定が必要となるが, 一次元ダイオードアレイを検出器とする修正ラインリバーサル法を開発することにより解決した. 3.イメージコンバータカメラによるアーク像から求めたアーク径と燃焼ガスの組成計算から求めたガス温度-干渉縞移動数特性曲線とから導出したアーク温度は約10000〜12000Kの範囲にある. 4.静止した円柱アークにガス冷却効果を考慮したアーク温度の計算値は実験結果とほゞよい一致を示した. 以上の結果をもとに, 次年度は電極上に溶融スラグ層をつくり, その境界層内に生じたアークに対してレーザ干渉法による温度測定を試みる予定である.
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