研究概要 |
本年度購入したプログラムブル周波数安定化電源と電源制御装置を2パルス電圧発生装置に組み込むことによって, 第2パルス電圧の値をマイコンのプログラムで自動可変でき, しかも極めて精度よく設定値に調整できるようになった. さらに, 第1パルスでのコロナ放電に関するデータと第2パルスでの破壊のデータとは自動的に計測され, マイコンで自動データ処理される. この改造された2パルス電圧発生装置とデータ処理システムを用いて, 乾燥空気, SF_6ガス, CO_2/He/N_2混合ガスでの正針対平板と負針対平板ギャップに関する2パルスフラッシオーバ特性のデータを収集している. 現在までに得られた主な知見をまとめると次の様なものとなる. (1)2パルスとも正極性電圧を印加した場合, 乾燥空気中での2パルスフラッシオーバ特性は休止時間の短い領域(〓〜10^2ms)と長い領域(〓102ms)ではその特性が異なる. (2)この短い休止時間領域では, 第1パルスのコロナ放電で生成された負イオンと正極性の空間電荷が影響を与え, 負イオンは第2パルスのコロナ開始時の初期電子として, また空間電荷は電界緩和に寄与する. (3)また, この短い休止時間領域では, 2パルスのフラッシオーバ電圧が単一パルスのそれより高くなる場合と低くなる場合とがある. これはギャップの電界不平等性に依存する. (4)長い休止時間領域では, 2パルスのフラッシオーバ電圧が異常に上昇するものとそうでないものとに分かれ, これは第1パルスのコロナ形態と気体の種類に関係する. 特に, 空気中では0_3の放電生成物の影響が考えられる. (5)2パルスとも負極性電圧を印加した場合, 乾燥空気とCO_2/He/N_2はほぼ同一のフラッシオーバ特性を示すが, SF_6はこれらと異なる特性を与える.
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