研究概要 |
無声放電(対向する誘電体被覆面電極間の空間に生ずる放電)を開いて炭酸ガスレーザ発振部を小形化することを目ざしているが, そのためには, 放電空間に生じている素課程を明らかにして, レーザ発振に有効な素課程の出現が容易になるように放電条件を変えてゆく方法を用いる. そこで炭酸ガスレーダ媒質中における電子の移動度, イオンの移動度, イオン分子反応の計測を行う実験装置の製作から始めた. 62年度に測定結果が得られたものはないが電子移動度測定装置は電子到着信号を微少オリフィスを通過に電子をセラトロンで増倍して測定する方式を用いており, 国内には無いユニークな方式を用いている. イオン移動度およびイオン分子反応測定についても62年度には測定結果が得られなかったが, 63年度には炭酸ガスレーザガス中における各種生成イオンの移動度を測定することが出来る. 62年度の研究成果はイオン選別用の4重極質量分析器を自作したので, ロッド精度の分解能におよぼす影響を明らかにした点が上げられる. 実験装置の製作課程の紹介であるが, 炭酸ガスレーザの放電状況を調査する装置を製作中である. また, 装置の説明のみが終るが, 1torrのレーザ用ガス空間をD・C〜100KHZの周波数域で放電させ, 生成したイオン種の変化および電界追従性を調べる装置がほぼ完成に近づいている. 電源としてオーディオアンプを用い, イオン検出には4重極質量分析器を用いている. この装置も昭和63年度には実験結果を出すことができる. 以上装置の開発状況の報告に終始したが, 新装置を作るに当っての問題点を解決した経験も, 炭酸ガスレーザに関する研究の他に別報する.
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