研究概要 |
配線材料としてのAl膜では, 微細加工に伴うエレクトロマイグレーションやSiとの接合面における拡散バリヤ機能が問題となっている. それ故, エレクトロニマイグレーションの防止や拡散バリヤにとって有用な材料によって配線材料いボンデング材料を一体化して構成する方途を検討するためAl-Ta金属間化合物膜の作成条件やその電気的特性, 及び結晶構造等を基礎的に検討した. その結果, Al85%-Ta15%の複合ターゲットをco-sputterする事により, Al_3Ta金属間化合物膜が作成できる事が判った. 基板無加熱の状態で作成した膜は微結晶であったが, 400°Cまで加熱して成膜した膜は粒径100〓の程度の多結晶膜であった. 更に, 400°Cで成膜した膜を大気中, 400°Cで2時間アニールする事により粒径数ミクロンの単結晶に近い膜が得られる事が判った. 成膜時の基板温度やアニールに伴う結晶成長の変化の様子は, 電気的特性の変化とも一致し, 且, 単結晶に近い状態の膜の抵抗率の値はTa膜の値よりも小さい事が判った. その上, 本研究のAl_3Ta金属間化合物膜の作成法には, 従来の固相反応法より充分低温であるという利点がある. 更に、オージェ電子分光分析の結果, この金属間化合物膜の表面は, 大気中の熱処理によっても実質的に成長しない極めて薄いAl_2O_3層で被覆されており, この表面層が保護膜の役割を果たす事で膜の安定性に寄与している事が明らかにされた. この様に, ほぼ当初計画の通り研究を行うと共に, 経過において適宜その成果を発表してきた. 現在, この金属間化合物膜をボンデング部材料として用いた時の拡散バリヤ機能を検証するため, Siとこの膜の間の界面における相互拡散に注目し, 成膜時の基板温度やアニール条件に対する界面分布依存性の検討を準備中である.
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