研究概要 |
1.WO_3薄膜のB拡散マスク特性 (1) n形Si基板へのB拡散に対するWO_3膜のマスク効果を調べた。その結果、B_2O_3を用いた2ゾーン拡散法でWO_3膜が1050℃のB蒸気中で耐熱性がありマスク特性を示すことがわかった。しかし、マスク効果は前年度のP拡散の場合に比べWO_3膜の作成条件や拡散条件に左右され再現性に乏しい。今後さらに、プロセス条件の検討が必要である。 (2) 微細なWO_3マスクによる選択拡散については、電子ビームを用いてのWO_3微細パターンの作成と引き続く,P拡散は可能であったが、その評価法として微細拡散領域に位置合わせしての角度研磨が難航しており、現在研磨治具の検討を重ねている。 2.MoO_3のリフトオフ RFスパッタリングの条件を変えて二層に積層したMoO_3膜に電子線描画しそれを化学的エッチングすると、パターン断面がオーバーハング構造をもつことを見出した。このような特性をもつMoO_3膜を用いて、リフトオフによるSiO_2膜の良好な微細パターンを得ることができた。この方法はプロセスが簡単であり、他の材料のリフトオフにも用意に応用可能と思われる。 3.MoO_3及びWO_3薄膜のスパッタエッチング耐性 Auのもつ優れた特性に注目して、その微細加工の必要性が高まっているが、Auは耐食性も高く化学的エッチングが難しい。そこで、MoO_3のスパッタエッチング耐性を調べ、Arスパッタエッチングに対する選択比がAu/MoO_3=5にも及ぶことを見出した。このようなMoO_3マスクを用いて、スパッタエッチングによるAu膜の良好な微細パターン作成に成功した。スパッタエッチング耐性は、これらの膜がイオンインプランテーションや他のドライエッチングプロセスにも応用できる可能性を示す。
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