研究概要 |
新しい欠陥評価手法である界面バリヤ制御電子スピン共鳴法を開発するため, 本年度は主にマイクロ波空胴共振器内に入れる特殊形状試料ホルダーと電圧印加用端子の製作を行い, シリコン試料について実験を行った. 酸化膜として陽極酸化層を用いたが, 測定試料の面積が0.3〜2.0cm^2と大きいため, 一部のクラックスはピンホールでリーク電流が流れ,印加電圧5V以上で界面バリヤの制御が不可能であるという問題が明らかになった. これに対して, 膜厚を厚くすることやイオンビームスパッタリング法で形成した酸化膜, 窒化膜の使用を検討したが, リーク電流を低減させる方向に向っている. 他方, この実験の過程でリーク電流によるシリコン表面層の加熱が置換位置Nの超微細分離幅を大きくするという新しい知見を得, 更に, 線幅の温度変化から, 本研究で得ようとしていた欠陥準位が求められる事を見出した. 従って, 電子スピン共鳴の低温から高温に亘る範囲での温度依存性がプロセス誘起欠陥の評価に大変有用であることがわかったため, 現在, この研究を重点的に進めている. 本年度の購入備品「試料温度可変装置」はこの研究にも役立っており, 界面バリヤ制御電子スピン共鳴測定が可能になった場合には更に有効性を出せると考えている.
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