1.窒化膜の形成 光励起したアンモニアによるInP表面の窒化について検討した。この処理によってInP表面の電気的な特性が変化することが、ショットキーダイオードの特性解析ならびにMISダイオードの溶量ー電圧特性の解析によって示された。光励起したアンモニアでは厚い窒化膜の形成が困難であることが判明したため、さらにこれを発展させてより厚い膜を形成することを試み、プラズマを併用する方法を見いだした。 2.MIS特性の測定と窒化膜形成条件の最適化 直接窒化膜自体の電気的特性並びに窒化膜とInPとの界面特性を評価した。窒化膜の組成など化学的な評価には電子プローブ微小分析法(EPMA)を用い、電気的特性の評価にはMISダイオードの特性による方法を用いた。これらの実験によって、InP表面を有効に窒化するためには、残留酸素を極力減らすことが必要であることがわかった。 3.MIS型太陽電池の試作 InPを用いたMIS太陽電池を試作し、その基礎となる光起電力特性を評価した。表面の窒化処理によって太陽電池の開放電圧が大きくなり、高効率化に対して有効である可能性が示された。しかしながら現在のところ、エネルギー変換効率の値は他の構造に比べてけっして大きいとはいえず、さらに検討を必要としている。 4.今後の研究の展開 MISFETのゲート絶縁膜としての応用が期待できる。今後FETの試作と特性評価を行う計画である。
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