半導体デバイス工程中で最も重要な工程と見なされているイオン注入工程を、非接触・非破壊・非汚染な方法で評価する技術開発が必要である。イオン注入工程の評価として、出来ればas-implanted状態でそのドーズ量がモニター出来るか、又はアニール後にドーズ量がいずれも非接触法でどこまで可能なのかを測定した。GaAs系の高出力レーザ・ダイオードにファイバーを接続した50μmφのスポット光と光学系を組合せたHeーNeガスレーザビーム光をパルス状に照射することにより、減衰曲線を解析して表面再結合速度(S)のウェーハ内分布を測定した。HeーNeパルス光照射の場合は、光の侵入深さが表面より3μm程度と浅く、GaAs系の半導体レーザ光パルスの照射による50μm程度の侵入深さの場合よりも注入されたキャリアの変化は一層Si表面状態に依存する事が明らかになった。904nmの半導体レーザ光パルスで注入されたキャリアの減衰曲線からSiウェーハ内部のライフタイム(τb)と表面再結合速度(S)を求めると、Sの値はドーズ量が5×10^<11>個/cm^2程度までは急激に増加し、5×10^<11>個/cm^2以上で飽和する傾向にある。一方アニール後は、ドーズ量が10^<12>個/cm^2以上の領域でSの値は減少する。Sの値を算出するにはコンピュータで減衰曲線を解析する手数が必要である。HeーNeのレーザ光パルスをSiウェーハに照射し表面付近に注入されるキャリアによるμー波信号の変化量は、ウェーハ表面付近に残っているキャリアの量に相当する。この残っているキャリアの量は、ドーズ量に依存する表面再結合速度と関連した値になる。従って、HeーNeレーザ光を照射した時のウェーハからの反射μー波信号は"S-related μ-wave intensity"として有効なモニター量となることを見出した。先に述べた表面再結合速度(S)の値がアニール前に5×10^<11>個/cm^2程度まで増加するのとは逆に"S-related μ-wave intensity"は減少し、5×10^<11>個/cm^2以上で飽和する傾向にある。アニール後に於でもSの変化の様子とは逆の変化の様子を示す。
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