研究概要 |
62年度の研究では以下の4項目について基礎検討を行った. (1)送信帯域制限を行ったCPFSKの多重波干渉伝搬路における誤り率の理論解析(2)耐多重波変調方式Π/2-TFSKのシミュレーション測定装置の製作及び基礎特性の検討(3)多重波干渉時における誤り率と判定標本時との間の関連抽出(4)適応等化器の変調信号への適用に関する方式検討. 以下において各項目についての成果概要を順次記述してゆく. 1.位相連続FSKは一般に多重波干渉に対して弱いと言われているため, 最適な受信帯域を含めた誤り率の劣化特性を理論的に解析した. これはスタンダードな評価指標を得る目的で行ったものである. 変調方式としては最も一般的な(ヨーロッパにおける次期システムにおいてもノミネートされている)GMSKを対象とした. 解析結果は学会における発表を予定している. 2.第一段階として64Kbpsの直交変調器を800MHz帯にて製作した. 位相の遷移時間toを可変するため装置化には予想以上の時間を必要とした. 周波数一様伝搬路における特性測定を満足する受信機は従来の設計指標で製作可能であるがフェージング, 多重波干渉時における特性を議論するためには検波器の特性を高める必要があることが明らかとなった. これらの新たな知見も学会にて報告する予定である. 3.多重波干渉時におけるクロック再注は4.の等化の際にも重要となる基本事項である. 遅延時間差の異なる各種の信号波が干渉した場合に最適サンプルタイミングと誤り系列の間にどのような関係が存在するかを検討することを目的とした. 新たな知見はギャップ長の特性抽出により最適タイミングのコントロールへの展望が開けつつあると云うことである. 4.変調信号への適応等化方式としてデシジョン・フィードバック・イコライザの特性検討を進行中である.
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