研究概要 |
画像通信サービスが取り扱う画像は, 線図形, 文字画像, 自然画像など多岐にわたっている. このような統計的性質が異なる画像を同一の符号化アルゴリズムで取り扱うことは, 今後ますます多様化する画像メディアにおける蓄積あるいは伝送等の面できわめて重要な課題である. そこで, 本研究では, ユニバーサル符号の持つコンテントアダプティブ性に着目し, これを画像符号化に適用することにより, 画像内容に依存しない高能率な符号法を開発した. ユニバーサル符号構成が可能な手法としては, 算術符号, Ziv-Lempel符号(以下Z-L符号と呼ぶ)などが代表的な手法である. 本研究では, まず, 算術符号が符号化パラメータを動的に変更できることを利用し, 文字およびディザが混在する画像など, 統計的性質が局所的に異なる画像情報源に適用する手法を開発した. 提案した手法では, 符号化パラメータのみならず, マルコフモデル符号化における参照画素位置をも自動的に変更することを特長としている. 開発した方式では, 文字/ディザ混在画像に対して, 固定的な最適参照画素を用いて, 固定的な符号化を行なった場合に比し, 43パーセント, また, 符号化パラメータのみを可変にした場合に比べても17パーセントの圧縮率の改善を得た. さらに, 算術符号自体の改良を行い, 算術符号における符号化効率の最悪値を改善する手法を検討した. これらの結果は, 電子情報通信学会論文誌および全国大会などで発表済みないし発表予定である. 次に, Z-L符号を取り上げ, これを多値画像符号化に適用する手法を検討した. Z-L符号は学習機能を内在した符号化法であり, 画像の統計的性質に自動的に追従した符号化が可能であるが, 本研究では, さらにこれを予測符号化と組み合わせることにより符号化効率の改善を試みた. これらの結果は, 電子情報通信学会総合全国大会などで発表済みである.
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