研究概要 |
自動車電話系においては, 周波数スペクトラムの有効利用等の理由から, サービスエリアを多数の小ゾーンに分割し, 電波の干渉の小さい複数ゾーンにおいて, 同一チャネルを使用するという小ゾーン方式が用いられている. この小ゾーン方式では, 通話中に移動体が隣りのゾーンに移るゾーン変更が起こるため, 通話中のチャネルの切換えも起こる. これは移動体流すなわち自動車の動きと通信トラヒック量とは密接な関連があるということを意味する. 本研究はこの関連を明らかにしようとするものである. ところで, 交通流に対しては交通工学の分野でたくさんのモデルがあるが, 個々の移動体(自動車)がどのように移動するかについては, その統計的データが少ないため, 移動体の動きの実測が必要である. 本年はまず測定用自動車に速度センサ, 方向センサ及びその値を取込むマイクロコンピュータをセットし, 主に新潟市内を中心に, 時間, 場所を変えて測定を行った. 速度分布及び方向の変更角度分布について測定を行い, それぞれの分布を得た. しかし, 速度分布と直進時間分布, 進路変更角度分布との相関についてはまだ明確な結論は得られていない. 進路変更角度分布は指数分布と90度付近を中心とする正規分布の重ね合わせとして近似できることがわかり, 又速度分布は市街地では速度零の場合も高い確率を示し, その他の速度は一様に近い分布となっている. 現在, 交差点付近の動きについてデータの処理を行っている. また, 今回得られた結果を考慮した, 自動車電話系の電子計算機シミュレーションも行い, いくつかのチャネル割当アルゴリズムの比較も行った.
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