1.有色信号に対する適応制御の高速化、残留誤差の低減、帯域フィルタ形未知システムに対するシテスム同定について、一次ARモデルによる有色信号を用い、学習同定法 (LI法) ならびに相関除去法 (CR法) による学習特性を調査した。回帰係数が大きくなるに従い、LI法は収束が遅くなるがCR法は殆ど収束速度が低下していことが認められた。しかし残留誤差は両者共数dBが大きくなった。 2.演算量の削減、前年度はタップ係数制御における信号電子の正規化のための除算をすべてのタップについて行っていたが、その演算量はオールパス20区間、LI法において全フィルタのそれの35%に達していた。そこでこれを削減するため、本年度はタップ電力の相互関係を調べ、除算をタップごとではなく1箇所で行った。結果はLI法では入力信号有色時に残留誤差が大となり、収束速度が低下したが、CR法では有色時でも劣化は見られなかった。これにより演算量は34%削減され、1129ステップとなった。 3.オールパス回路の極配置法 2つの方法を検討した。1つは未知システムの出力に等間隔極配置の適応フィルタを置いて、インパルスに対する各タップの出力応答の長さを測り、長さに比例した極密度を与える方法で、前年度の方法より残留誤差を減らすことができた。他は極を周波数領域で4つのブロックに分け、1つのブロックのみ密、他は等しく粗に配置する4つの組み合わせについて、それぞれ適応後の残留誤差を測定し、誤差の小さい粗密の組み合わせを見つける方法である。ある程度の改善が得られた。 4.高速制御 高いスループットを実現するため、カルマン法によるシステム同定を試み、オールパス20区間のフィルタの場合、学習同定法に比べ、無色時10倍、有色時40倍収束が速いという結果を得た。
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