研究概要 |
FM符号はデイジタル記録が始まって間もなく開発された. 長い歴史を持つ最もポピュラーな, 代表的記録符号の一つであり, 今なお盛んに使用されている. これはFM符号がすぐれたDCフリー特性を持つだけでなく, その理論的解析の容易さや符号化・復号化回路構成のシンプルさを主たる特徴として有するためと思われる. そして, より高密度記録に適用することを目的として, FM符号の特徴を保持しつつさらに特性改善を求めて, 現在も次々と各種のFM符号が開発されている. 我々の研究グループは裏面の研究発表にもあるように, 記録符号の符号化則を有限オートマトンモデルで表現する手法を用い, また可変長符号の場合には復号サブシステムにスライデングブロック方式を適用することで, 新たな符号の開発ならびに特性改善を行って来た. その結果, 従来より知られている4個のFMファミリー符号に加えて, 16個のFMファミリー符号を新たに開発し, その特性評価を行った. このような検討を通じて, より信頼性(誤り率)を向上させるためには, 今後はハミング距離に着目したFMファミリー符号の開発が求められている, との結論に達した. このことは, 誤り訂正符号と記録符号とを結合した同時高能率記録符号の開発を意味している. これは次年度における一つの研究テーマとなった. ディジタル記録では信号再生側には, 必ずしも信号記録側の逆関数関係を持つ回路機能は要求されていない. ここに, 信号再生・復号のサブシステム検討が特性改善への極めて重要な研究テーマとなる. 本研究では, FM符号にパーシャルレスポンス方式を適用することを検討した. その結果, 同一SN比で従来の方式より約1桁以上の誤り率改善を得ることができた. 今後は従来のビットごとの復号に代えて, ビタビ復号を適用することを検討して行く予定である.
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