研究分担者 |
栖原 淑郎 九州大学, 工学部, 助手 (80187799)
浦浜 喜一 九州大学, 工学部, 助手 (10150492)
元石 浩二 九州大学, 工学部, 助教授 (00038118)
西 哲生 九州大学, 工学部, 教授 (40037908)
古賀 利郎 九州大学, 工学部, 教授 (00037706)
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研究概要 |
本研究は, 擬似乱数やカオスの乱雑さに関する基礎的研究を2ケ年計画で行うものである. 初年度の62年度は, 以下の事を明らかにした. (1)先に代表者が提案した, 乱雑な2値系列の典型例であるベルヌイ試行を基準とした, 乱雑さに関する新しい一つの考え方に基づいて, 種類のカオスの乱雑さを様々な検定(組み合わせ検定, 連検定, 頻度検定)により評価した結果, 種種のカオスの中でチエビチエフ写像のカオスが, 従来の擬似乱数(線形合同法, 平方採中法, M系列)と同程度に非常に良い乱数を生成することを明らかにした. 更に, デルタ関数的な2次の自己相関関数を有する系列は最も乱雑であるという従来の考え方は不十分であることを指摘した(11. 研究発表・雑誌論文の3番目に公表済). (2)先に代表者らは, 区分的線形な写像のカオスの諸統計量(不変密度, 2次の自己相関関数, 2次のパワスペクトル, Kolmogorov-Sinaiエントロピー等)が, Frobenius-Perron作用素(空間平均を与える積分作用素)を用いることにより, 行列(区分的線形な写像の遷移関係及び勾配と切片で定まる行列)の形で簡単に表現できることを示したが, このことはカオスの高次の統計量(3次, 4次の自己相関関数, パワスペクトル)に対しても拡張できることを示した. その結果, 高次の統計量は2次のそれには現れないモード(固有値)が現れることを明らかにした. 更に, カオスの乱雑さと高次の統計量とは, 密接な関係があること及び, カオスの高次統計量が重要であることを明らかにした(11. 研究発表・雑誌論文の1番目と3番目に公表済, 及び同5番目に公表予定). (3)指定された統計量を有するカオスや擬似乱数を生成する写像を求めるという逆問題の解は, 一般には存在しないことを明らかにした(11. 研究発表・雑誌論文の6番目に公表予定).
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