処理と通信の融合を目指した本研究の成果をまとめると以下のようになる。 1.デ-タフロ-計算機の開発:演算要素を環状に接続した並列プロセッサを構築し、デ-タフロ-計算機「源流」を開発した。本計算機は言語としてはSAL(Single Assignment Language)を備え、ハ-ドウェアとしては一つの管理プロセッサと二つの演算要素から構成されている。更に、小型、高速化をはかる必要があるが、デ-タフロ-計算機を完成させたことに一つの意義があると思われる。 2.8-隣接格子結合網の構成とその解析:隣合った8つの演算要素と通信可能な8-隣接格子結合網を提案し、その解析を行った。本網は適切な経路選択法を採用することにより、各種の結合網をマッピングすることができ、汎用並列処理装置として利用できることが明らかとなった。 3.高速並列ソ-ティングアルゴリズムと基数4の並列FFTアルゴリズムの開発:8-隣接格子結合網に適した2つの並列ソ-ティングアルゴリズム(バイトニックソ-トと奇偶交換ソ-ト)を考案し、発表した。また、基数4のFFTとシャフル行主体順序を組み合わせた並列高速FFTを8-隣接格子結合網上に適用し、従来方法より約2倍の高速化を実現した。 4.自己ト-クンを採用した演算要素間高速通信プロトコルの開発:演算要素間の通信を高速化するためのプロトコルを新たに提案し、解析した。本プロトコルは短いパケットの伝送に適しており、更に研究を進める必要がある。
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