電子計算機のハードウェア・ソフトウェア等の離散的システムの構成・修正や検証を出来る限り自動的に達成できるようにすることは、今日重要な課題となっており、システムの全体あるいは部分が他のものとおなじ働きをするか否かを判定する「等価性判定」を効率良く実行することは非常に重要である。離散的システムは、オートマトン・変換器あるいは形式文法として表現できる。しかし、最も簡単な決定性有限オートマトン以外については、効率的等価性判定法はまだ十分に確立されていない。 本研究では、単純(simple)決定性プッシュダウンオートマトン(DPDA)に対し等価性判定を行う直接的分岐アルゴリズムを得た。また1ターン決定性プッシュダウンオートマトンに対する直接的な等価性判定アルゴリズムを確立し、その最大時間計算量が従来得られているアルゴリズムによるものよりも勝っていることを確認した。一方が空スタック受理式のDPDAで他方が実時間空スタック受理式のDPDAに対し、従来より開発してきた直接的分岐アルコリズムによる等価性判定アルゴリズムを改良して一層の効率化を実現した。更に、変換器(DPDT)に対する等価性判定アルゴリズムについて、自由群の性質を利用することにより一層の単純化・効率化に成功した。 上記結果の応用に関連して、グラフにおける極大・最大クリーク抽出の効率のよいアルゴリズムを考案し最大時間計算量の評価を与えた。更に、確率プッシュダウンオートマトン(PPDA)の受理する言語のクラスに関する考察を行い、等価性に関連して、PPDAとNPDAによって受理される言語のクラスが等しくないことを示した。最後に、ニューロンライクな素子を用いて、離散的システムを学習により自動構成する効率的な方法を提案した。
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