研究概要 |
本研究の研究対象は, 1.情報処理資源の広域的配分方式と2.通信資源の有効的利用方式とに大別される. 本年度は, 1.においては分散コンピュータシステムにおける負荷分散方式, 2.においてはアロハ・予約複合アクセス方式の一つであるAA/TDMA方式, の両方式に対して主な研究成果を得た. 1.負荷分散方式については, TantawiとTowsleyが, 局所領域およびスター型ネットワークについて, 単一ジョブクラスの場合, システム全体にわたる平均応答時間を最小にする負荷分散方式(全体最適化方式)の解を既に得ている. 本研究では, まず上記2種のネットワーク含む一般的なモデルにおいて, 複数ジョブクラスの場合の全体最適化方式の解を得た. さらに, 全体最適化方式における不公平さに着目し, これを避けるため, 各ジョブ(のユーザ)にとってその反応時間の期待値が最小にみえるように負荷分散を行う個別最適化方式を考え, その実現可能性を示し, その解を得た. 両方式の解は極めて類似しており, 一方の解が他方の解の直観的な解釈を与えること等をみた. さらに, システムパラメータの影響も調べ, 直観と反する異常現象を発見した. 2.AA/TDMA方式については, 長短2種類のメッセージが生起する環境を想定し, まず当方式を用いたネットワークの大局的挙動を把握した. 次に当方式の特性を解析し, 2種の異なるメッセージを統合した効果及びその適用領域を明らかにした. さらに, 当方式のチャネル制御法として, fixed boundary, movable boundary, no boundaryの3方式について比較検討し, 次のような知見を得た. fixed boundary方式は最も単純で制御が容易である. movable boundary方式は最低限の安定性が保証され実用的である. no boundary方式によるとチャネルは有効利用されるがいくつかの問題がある, 等である.
|