研究概要 |
本研究の実績として二つの側面がある. 一つは実際に相互結合網を構成するためのソフトウエア, ハードウエアの検討, 作成を行う技術面と, 相互結合網構成法, アルゴリズム埋め込め手法等の理論的検討がある. 理論的検討結果として, 次の3点がある. 1 格子結合形プロセッサアレイのVLSI化を行った時, プロセッサ間通信として局所的通信路のみの場合と, 大きな面積を占める大域的通信路を導入した場合の両者について, 回路面積と計算複雑さの両面から検討を行い, 具体例としてN点離散フーリエ変換を取り上げ比較検討を行った. その結果, 局所通信路のみの結合網の有効な適用分野が存在することが判明した. 2 パターン・マッチングに有効であるダイナミック・プログラミングを, 限定されたアレイサンズ上で実現するため, プロセッサの構造と動作を規定し, 結合網上でのデータの流れを制御し, 処理するハードウェア・アルゴリズムを考察し, その正当性の検証を行った. また, 連続単語認識への適用を試み, 実時間処理の可能性のあることを確めた. 3 3重ループプログラムで表される問題をシストリックアレイ上で自動的に埋め込む設計手法を, 少ない計算時間ですむ正射影変換を用いて行う手法を提案し, 適用例として緩和法を取り上げ, 有効生を確めた. 技術面からの検討結果は次のとおりである. 自己相似形相互結合網のハードウエア・ソフトウェア開発に容易なプロセッサとして, 8ビットワンチッププロセッサHD64180を採用し, プロセッサ間通信実現のためのデータフォーマット通信経路を決定するプログラム等通信プロトコルの作成を行い, ハードウェアでの検証を行い, ネットワークルーチンの作成を終了した. 今後は, プログラムの細分化, 各プロセッサに配分する手法の検討, ホストコンピュータとのインタフェースの作成, 応用プログラム実装に必要なソフトウェアの検討, を行う予定である.
|