研究概要 |
人間の目のように物体を3次元的に認識できる機械の目の研究はコンピュータ・ビジョンの中心課題であると同時に, 次世代のロボットの視覚の基盤技術として多くの応用分野を持っている. それにはシーンから3次元情報を獲得できる必要があるが, その有力な手法として両眼視がある. しかし, この両眼視の手法では2つの画面の間での対応点決定の問題が未解決である. このため, 研究担当者らはカメラをもう一台導入して3眼にすることにより, 対応点決定を幾何学的に解決できることを示した. しかし, エッジの密度が上がると, 複数の対応点候補が見つかることがあるため, (1)エッジ点の周りの局所的な性質の類似性, (2)視差情報による探索範囲の限定, (3)エッジの連続性などを利用して, 対応点の候補を一つに絞る手法を確立した. また, 本プログラムを他のシステムから利用し易いようにモジュール化した. この3眼視の手法により, いくつかの対象について実験を行い, よい結果を得たが, 一方の画面では見えているが, 他方の画面では見えていないエッジについては当然ではあるが, 対応づけはできなかった. これはオクルージョンの問題と呼ばれ, 三角測量を用いた手法のなが年の課題であったが, 見えていない画面で, 一部見えている部分から推測を行えばできる可能性がある. このため, まず角画面のエッジを線分で近似し, 線分間での対応づけを行った. この時, 一部しか見えていない短線分が, よく見えている他の画面の線分と一部分対応がとれれば, 他の部分を推測することにより3次元情報を得ることができた. 今後, 3眼視で得られたエッジ部分の3次元情報を出発点とし, 物体表面の明るさの変化を利用して, 物体表面の3次元情報をくり返し的に求める手法を確立する.
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