人間の目のように物体の3次元形状を認識できる機械の目の研究はコンピュータビジョンの中心課題であると同時に、次世代のロボットの視覚の基盤技術として多くの応用分野を持っている。それにはシーンについての3次元情報を獲得できる必要があるが、その有力な手法として両眼視がある。しかし、この両眼視の手法では2つの画面の間での対応点決定の問題が未解決である。 これを解決するため、カメラをもう一台導入して3眼視にすることにより生じる幾何学的な拘束を利用する理論を以前に開発した。この3眼視の手法をさらに発展させて、線分間で対応付けを行い、3次元情報を獲得する手法を開発し、種々の対象について実験を行った。実験の結果、共通に見えない死角の部分や、ある画像では検出エラーによりエッジが途切れている部分などの3次元情報も得られることが明らかとなった。 曲面体の境界は面と面とが物理的に交わってできる境界(稜線と呼ぶ)と円柱の側面のように、ある視点から観測した時にできる曲面の端(先端線と呼ぶ)とに分けることができる。稜線の3次元情報は3眼視により三角測量の原理から求められるが、先端線の所では誤差が生じる。一方、先端線の所では、一枚の画像のみで、面の3次元的な向きを決定できる。したがって、いずれの境界線についても3次元情報を得ることができるが、そのためには今注目しているエッジ点が稜線上の点か先端線上の点かを識別できる必要がある。この境界点上の分類を3眼視を発展させた手法で識別し、曲面体の境界点上の3次元情報を得た。
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