大規模な幾何学的図形情報データベースを建設し、各種の図形情報の処理・検索・探索を効率的に実行することが、VLSIのCAD、機械設計コンピュータグラティックスなどで最重要課題になっているが、従来の研究は多分に試行錯誤的で根本的な見直しが叫ばれてきた。特に、幾何学的な図形を効率的に処理するためのアルゴリズムを理論的に研究する計算幾何学の最近の発展に伴い、計算幾何学を応用した統一的な図形情報データベースの建設・運用が切実に望まれている。本研究では、計算幾何学的手法に基づいた図形情報データベースの設計法を検討し、標準的技法を提案することを目的として、VLSIのCAD、コンピュータグラフィックス、パターン認識の分野のデータベースにまで焦点を拡げて、以下に示す研究を遂行した。 1.コンピュータグラフィックス、パターン認識、VLSIのCADのデータベースにおいて現在までに提案された各種の技法及び関連する計算幾何学の成果を調査・分類・整理し、問題点を明確にした。 2.現在既に発生している典型的な形の需要、および処理・検索・探索技術が未確立であるが基本的に重要な問題を調査・整理し、有効な処理・検索・探索法を検討した。 3.計算幾何学に基づいた効率のよいアルゴリズムを研究開発し、それに基づいて、コンピュータグラフィックス、VLSIのCAD等のデータベースに対する新しい技法を提案した。更に、そのアルゴリズムをプログラミングし、本格的な実物データに対する計算機実験を通して従来の技法と比較・検討してその有効性を明らかにした。 以上の研究で得られた結果を学術論文としてまとめ、学会の研究会で発表したり、学術雑誌に投稿したりしている。以上のことにより、本年度の研究目的は充分に達成されたものと考える。
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