研究概要 |
当該研究者らは、半導体レ-ザの活性領域において、価電子帯のホ-ル数を過剰にすると、帯間遷移による光吸収が減少し発振しきい価電流が減少する原理を見出しており、この原理によるレ-ザ構造をポテンシャル制御構造レ-ザと命名した。なお、同じ時期に他研究機関からは、選択ド-プや変D2As調ド-プという名で類似の構造が提案されている。 今年度は、Al_XGa_1-X系を材料としたポテンシャル制御構造レ-ザについて、層厚や昆晶比などについての最適値を理論的に検討した。 しきい値電流が最少になる構造は、純粋のGaAsによる層厚4nmの活性層(量子井戸層)を、両側からx=0.8で層厚12nmのポテンシャル制御層で挟み、さらにその外側にx=0.3で層厚60nmの光導波層をつけ、その外側をx=1.0のクラッド層とした構造である。活性層と光導波D1以上の層は真性半導体とするが、ポテンシャル制御層にはN_A=10^<13>cm^<-3>以上の多量のアクセプタ原子を添加する。レ-ザのストライプ幅を3μmとすると、端面反射率が33%の場合は共振D2=0.器長180μmで、発振しきい値電流I_th96mA、反射率が90%では共振器長1D2=897μmでI_thμAと、非常に低い値が得られた。 また、このポテンシャル制御構造を面発光レ-ザに適用する場合についても理論解析を行なった。面発光レ-ザ用には層厚5nmの活性層D2thDと層厚16nmのポテンシャル制御層を84対重ねた構造が最適であり、しきい値電流密度はJ13.2KA/cm^2になった。この値は、通常のダブルヘテロ接合を用いた場合の約1/3である。 次年度は, 光とじ込め層のバテンドギャップ形状についての最適化, および計算プログラムの統合化を行なう予定である.
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