本研究は、極めて低い発振しきい値電流が得られるレーザとして、当該研究者らが提案している、ポテンシャル制御構造(POCO)レーザの動作特性の理論解析と設計方法の確立を目指してものである。本年度は、POCOレーザにおける発振しきい値電流の温度特性と、キャリア数や利得変動に伴う屈折率変化の比(いわゆる・αパラメータ)を理論解析した。 POCOレーザは高温になったも、通常のダブルヘテロ接合構造を量子井戸構造よりも低い発振しきい値電流を維持できる事が確認できた。またαパラメータは、ダブルヘテロ接合構造レーザの1/10程度に減少することもわかった。屈折率変化は、発振線幅を増大させるだけでなく、発振モードを不安定にし、モードホッピング雑音を大きくする。したがってPOCOレーザは、従来のレーザよりもかなり安定な動作が期待できる。 当初の予定では、本年度はPOCOレーザの電磁界閉じ込め層のバンドギャッププロファイルの最適化等を行う予定であったが、上記の課題の方が、重要であると判断し変更した。また、計画では、理論解析をパソコンを用いたCADとして統合化する予定であったが、計画量が膨大なため、大型計算機を主体に用いる必要があり、大 型計算機を主として、パソコンを補助に使う方法を用いた。
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