研究概要 |
実時間・完全並列形離散フ-リエ変換及びその逆変換装置は、一昨年はプロトタイプとしての、8x8ポイント、昨年は64ポイントへの拡張と、着実にその成果を重ねてきた。従って最終年としては、実際の音声の入力に際してフ-リエ変換装置の起動に必要な、音声入力の基本周期-基本周波数-の実時間検出装置の構築を手がけた。基本周期は音声の認識にも必要な要であり、時間的に変動する音声周期に対して、実時間での検出を意図している。また、従来の計算機を用いる相関関数の積和算法ではなく、スイッチトキャパシタ回路に適した独特の関数を定義し、その差和算で基本周期を得ている。以下、本年度の成果ならびに関連思考から生じた今後の展開-2次元への拡張、スイッチトキャパシタ・ニュ-ラルネットワ-クの実現など-について列記する。 1)相関関数法が入力信号と、その時間軸上を推移させた関数との積和算により最大値を検出するのに対して、今年度の提案は上記二つの関数の差を連続的に検出して、それらの和算により最低点を見いだす事により得ている。従って,従来法の適当な時間の窓関数による飛び飛びの値ではなく、基本周期を連続的な時間関数として扱える。 2)音声の認識に関連して、“スイッチトキャパシタ回路による音声エネルギ産出回路とその音素セグメンテ-ションへの応用"にも取り組み、今春の電子情報通信学会全国大会で発表される。 3)音声用一次元フ-リエ変換は、容易に2次元に拡張できるので、高速画像の認識、動画像処理用の変換装置にも拡張している。 4)上記の音声、画像の認識用に実時間処理ニュ-ラルネットワ-クをスイッチトキャパシタ回路で実現し、プロトライプ(8x8ポイント)乍ら手書き文字認識システムへの基礎を与えた。これらは関西支部大会研究会(昨年)で発表し、また軽井沢ワ-クショップに発表予定である。
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