1.閉鎖回路方式による微小酸素摂取量の長時間にわたる連続計測システムをマイクロコンピュータを利用して構築した。卵によって産生・排出される炭酸ガスを除くために用いた吸収剤の電導度変化から、炭酸ガス産生量を測定するシステムを開発した。 2.酸素、炭酸ガスや熱の交換は卵殻を介して行われる。こそでまず、卵殻ガス拡散コンダクタンスの胚子ガス、赤血球特性及び成長に及ぼす長期と短期の変化の影響を明らかにした。 3.卵殻内面には、胚子の呼吸器官である繊毛尿膜が接し、密に毛細血管化されている。心臓から排出される血流の体組織と繊毛尿膜への分布を回路モデル及びコンピュータを利用して作成したノモグラムによって解析し、卵の熱コンダクタンスに及ぼす血流の効果を評価した。 4.冷却負荷によって卵から消失する熱量を、熱コンダクタンス値から定量評価し、冷却方式を決定。それに基づいて過冷却、徐冷却、臨界冷却負荷を長時間与え、その代謝応答から鶏の胚子期における体温調節能の発達と、甲状腺ホルモン及び卵殻ガス拡散コンダクタンスが重要な役割を持っていることを明らかにした。 5.早成離巣性種(鶏)で認められた胚子期における体温調節能は半早成離巣性種(アジサシ)では確認できず、晩成離巣性種ではふ化後に体温調節能が発達するという仮説を立証した。 6.本研究の遂行にあたり、熱代謝と密接に関連する胚子の循環機能について、今後の研究への発展と継続を目的として、心拍数無侵襲計測を音響素子及びレーザースペックルを利用して実現する基礎研究を行った。更に、心電図、心弾動図、動脈血圧、インピーダンスカーディオグラムの同時計測システム開発の予備実験を行っている。
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