研究概要 |
本研究は、地下き裂の透過横波弾性波に対する伝搬異方性ならびに減衰特性を利用し、坑井間弾性波計測により地下き裂の存在のみならずその三次元的な構造を計測する具体的な手法を確立しようとするもので、昨年度は理論的検討、坑井内人工音源の開発、信号取り込みソフトウェアの開発、具体的計測法の検討ならびにフィールド予備実験を行っている。本年度は第2年度としてこれらに基づき次の研究を行った。 1.昭和62年度に立案した具体的な計測手法に基づき、東八幡平フィールドにおいて4本の坑井(F-1,EE-4,AE-1,E-3)を用い、地下370mに人工的に作成されている地下き裂を測定対象とし、これらの坑井間で三軸シェアシャドウ法による地下き裂計測の本実験を実施した。さらにそこで得られた信号波形を先に導出した理論に基づき解析を行い、人工地下き裂の三次元形状を求めた。その結果、三軸シェアシャドウ法によって得られたき裂の方向は三次元地殻応力計測ならびに人工き裂のコアサンプルによって推定される方向とほぼ一致しており、本計測法の有効性が確認された。また、透過SV波のき裂開口変位依存性が測定できた。 2.上記フィールド実験と並行し、計測された三成分の加速度波形から、き裂評価に必要なパラメータ(縦波振幅、横波振幅、偏波面、縦波速度、横波速度)を抽出するとともに、解析結果を三次元的に表示する計算機ソフトウェアを開発した。 3.以上の結果から、三軸シェアシャドウ法による新しい地下き裂計測法の提案を行った。
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